[レポート][株式会社日立システムズ]第1部:サイバー領域視点でのセキュリティ / 第2部:中国の全方位情報影響工作 (笹川平和財団上席フェロー 小原 凡司様) - CODE BLUE 2024 #codeblue_jp
こんにちは、AWS事業本部@福岡オフィスのべこみん(@beco_minn)です。
今回はCODE BLUE 2024で行われた以下のセッションのレポートです。
[株式会社日立システムズ]第1部:サイバー領域視点でのセキュリティ / 第2部:中国の全方位情報影響工作 (笹川平和財団上席フェロー 小原 凡司様)
第1部:サイバー領域視点でのセキュリティ
サイバー空間での攻撃は急速に増加し、ますます高度化しています。これに伴い、サイバー領域は現代の安全保障において不可欠な要素となり、各国や企業は、サイバー領域を中心とした多領域での連携を強化する必要があります。 日立システムズは、1996年に国内初のセキュリティセンターを開設して以来、世界各地の拠点と連携し、日立サイバーの取り組みを進めてきました。日立サイバーは、AIや自動化技術を駆使し、24時間365日の体制で脅威の検出と対応をおこなっています。さらに、大手ITプラットフォームと連携し、サイバー脅威インテリジェンスを通じて、規制遵守やサプライチェーンのセキュリティ強化もサポートしています。 本講演では、笹川平和財団上席フェローの小原凡司様をお招きし、グローバルな安全保障における新たな脅威について、サイバー領域の視点から深い知見と洞察を共有いただきます。第2部:中国の全方位情報影響工作 (笹川平和財団上席フェロー 小原 凡司様)
米国主導の世界秩序の変更および領土の統一等の目標を達成するための中国の行動が全方位に及んでいる。その行動の中でも、ここでは情報影響工作に焦点を当て、拡大する目的や手法を概観する。Speakers:
Akira Orita(折田 彰) 日立システムズ セキュリティリスクマネジメント本部 主管技師長
Bonji Ohara(小原凡司) 笹川平和財団上席フェロー
レポート
第1部:サイバー領域視点でのセキュリティ
- 日立の取り組み「安心安全な社会実現をめざして」
- 日立サイバー
- 日立システムズ社が立ち上げた新しいブランド
- 安全で信頼のあるデジタル基盤を提供し、サイバー領域を含む社会全体の安心・安全な環境を目指す
- 産官学に渡る協力者とともに、企業や組織だけでなく社会全体でのセキュリティ向上を図り、社会の持続的な成長を支える
- 日立サイバー
- サイバー領域視点でのセキュリティ
- サイバー領域とは
- 陸・海・空・宇宙に続く「新しい領域」
- 国家の安全保障、経済活動、社会的な安全性を維持するための重要な基盤
- 社会における役割とリスク
- サイバー領域が担う役割は非常に広範で社会に深く浸透している
- 適切な保護がなければ、国家や企業、個人の安全が脅かされるリスクが高まる
- サイバー領域に対する脅威
- 社会不安の助長や分断を煽り、世論や集団行動を操作する手段として利用され、社会的安定や政治的秩序に対しても広範な脅威を与える
- 日立システムズ社は小原氏と共同でサイバー領域のセキュリティについて研究を行っている
- サイバー領域とは
第2部:中国の全方位情報影響工作
- なぜ軍事ジャーナリストの小原氏がCODE BLUEに登壇しているか?
- サイバー空間というのものは軍事において無視出来ない領域になってきている
- サイバー空間は可逆的なもの、つまり攻撃を受けても修復可能なもの
- 日常的に様々な取り組みが行われている
- 技術での対応だと、起こってからの対応になってしまう
- そのため、なぜこのようなことが起こっているのか?を理解する必要がある
- 中国人民解放軍による行動の目的
- 軍事力を用いた「領土の統一・保全」の準備
- アメリカの軍事介入をいかに抑止するか
- 中国はアメリカと戦いたいわけではない
- 認知戦・心理戦の一環としての情報影響工作
- 2023年10月には新疆ウイグル自治区にICBMサイトフィールドが展開
- 核弾頭用プルトニウム増産体制
- 核を使って戦わずにアメリカを抑止したい
- 今年、潜水艦桟橋が4本→5本に増設
- 台湾武力信仰に必要な武器装備品
- アメリカと中国で抑止力は互いを見ながらエスカレーションしていく
- 新しい実践的な空母も今年造られた。ただまだ実践投入には遠い
- 性格を変えるサイバー攻撃(Pre-Positioning)
- 中国はアメリカと戦いたいのか?
- 戦いたいとは思っていないはず。戦った国は疲弊する
- 中国が重要インフラに攻撃を仕掛けている
- 軍事システムにあらかじめマルウェアを送り込んでおく
- 動こうとしたらマルウェアを起動
- 各国でインテリジェントを共有していく必要がある
- 中国はアメリカと戦いたいのか?
- 戦争に対する不安を煽る軍事的圧力
- 不安を煽るために軍事演習などを行う
- 台湾を取り囲むように行われている軍事演習
- 中国側は軍事演習の具体的な位置情報(緯度と経度)を明らかにしていない
- 出すべき航行警報を中国は出していない
- 中国側は軍事演習の具体的な位置情報(緯度と経度)を明らかにしていない
- 中国国内向けの情報操作の意味合いが強い
- なぜ国内向けだと感じるのか?
- 中国が発しているアナウンス内に英語での表記も含まれているから
- なぜ国内向けだと感じるのか?
- 台湾としても国内向けに中国の報道とは若干異なるアナウンスを出している
- 台湾にとって中国の行動はそこまで危なくない、という印象を強めるため。不安を煽らないように。
- 国内向けの中国解放軍報では具体的な軍事演習の位置情報が記載されていた
- 中国国内向けの対台湾政策の正当性、軍事力の誇示
- 現在時点で中国の軍事演習は2024Bが最新だが、Cが無いとは限らない
- Bは2024年10月に実施
- 台湾周辺での軍事演習は国内外に中国は大々的に宣伝している
- 英語での記載もあり。外国に誤解して欲しくないため
- ICBM発射の際の報道も英語での記載あり
- 現在時点で中国の軍事演習は2024Bが最新だが、Cが無いとは限らない
- アメリカの軍事介入をいかに抑止するか
- 軍事力を用いた「領土の統一・保全」の準備
- 中国のテーマは「戦争に対する不安」
- 台湾ファクトチェック・センターが収集し分類したディスインフォメーション
- 「台湾は中国軍より弱い」など
- 台湾ファクトチェック・センターが収集し分類したディスインフォメーション
- 米国国家情報長官室の対外国に関するセキュリティ情報
- 日本に対して
- 中国は今のところ日本に何かする、日本の経済を破壊しようとはしていない
- ただ、アメリカと一緒に中国に対して何かアクションをしようとしてきた場合には抑止するだろう
- まとめ
- 今年2回の軍事演習は情報操作の意味合いが強い
- 中国は自らの計画に合わせて行動・情報影響工作をエスカレート
- 中国情報影響工作の主要なターゲットの一つは中国社会・国民
- 結果として中国社会を煽ることに → 国民の要求に応じなければならなくなる可能性
- 今年2回の軍事演習は情報操作の意味合いが強い
感想
日立システムズ社と小原氏のセッションは昨年のCODE BLUEでも聴講させて頂きました。
日立システムズ社は新たに「日立サイバー」という新ブランドを立ち上げたとのことで、内容も上記の通り素敵な思想でした。今後の動向が楽しみですね。
小原氏の「第2部:中国の全方位情報影響工作」も非常に興味深いセッションでした。
昨今中国の台湾に対する圧力が強いと日本国内でのニュースを見ている私は感じていたのですが、実は中国の最近の実践演習は対外的ではなく中国国内への情報操作の意味合いは強い、ということでした。
争い事に関する話は耳にするだけでも心が疲弊してしまいますが、小原氏が冒頭に述べていた「サイバー空間というのものは軍事において無視出来ない領域になってきている」の通り、サイバーセキュリティを考える上で世界情勢は決して無視出来ないものです。
私もこれからはなるべく多角的に情報をキャッチアップしていきます。
以上、べこみんでした。